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気になることがあるけど、園長や先輩には聞きづらい・・・といった、こんなこと聞いてもいいのかな?という悩み、保育のプロの先生に直接聞いてみませんか?
 
 
インタビュー 「電話相談の向こう側に見えること」

平成20年7月17日(木)
駒井美智子先生(東京福祉大学准教授)
 

【はじめに】
今回の「保育者向けケアサポート事業」を推進するに当たって、様々なケアとサポートについての在り方と手立てを考えてきました。ここでご紹介します「電話相談」もそのひとつですが、「電話相談」を実践されてきました駒井美智子先生に、「電話相談」の意義と必要性についてお話しを伺いました。

☆ どういう方が「相談」に来られるのか。(~傾向として)

-どういう方が「電話相談」に来られますか?-
 まず、0歳から6歳の乳幼児をもつ母親、学童・放課後に子どもを預ける母親が圧倒的に多いです。
また、中学生高校生になると、こども本人からかけてくる場合もあります。ちょっとした傾向ですが、保育者(保育士、幼稚園・小学校低学年教諭、学童・児童館の指導者等)自身も多いですし、最近では、娘が子どもを持つ母親、嫁が子どもを持つ姑、つまりお婆ちゃんから、孫のことを想っての電話もあります。
いずれにしても、女性の方からの相談が多いですね。

―父親からの相談はありますか?-
 父親からの電話は、時々あります。
相談で多いのは、多文化保育と言って、外国の妻を持つ方からの相談がきます。
殆どの父親は日本人です。異文化や子育ての価値観の違いと言った相談が多いです。
日本人同士の夫婦の場合は、圧倒的に母親からの悩みが多く、外国人妻の夫婦は、父親が悩んでいる場合が多いようです。
内容としては、子育て文化の違いとか、子育て観の違いや、保育者との関係がうまくいっていないとかの悩みが多いです。

-それは、家庭における育児?、それとも、園における保育についての悩みですか?-
 このような境遇の父親は、園や学校の先生に、どのように相談したら良いのかとか、家庭においては、家の中の環境も違うし、躾方が違うのでどうしたら良いのか、と言ったことで悩んでいるようです。
あとは、障害児をもつ父親から、妻が育児でマックス状態になってしまって、どう対処したら良いのか、と言ったことも相談されたことがあります。
勿論、障害をもった子どもの母親からも、相談を受けています。

-電話相談に来られる父親は、どのように知ったのでしょうか?-
 私の電話相談は、山梨県富士河口湖町生涯学習課が主体となって保育の悩み相談を実施してきたので、富士河口湖町の広報紙や掲示板などで誰でも知り得た訳です。 10年も継続してくると、人から人へと、口コミで聞きつけてきたのではないでしょうか。多分、風の便りで、県内外限らず広がっているようです。

-駒井先生は、今までどのくらいの人たちの相談にのってこられましたか?-
10年間の電話やメール相談の数は相当多いですね。中には友だち感覚の方々もいて、「先生ちょっと聞いてよ」みたいな人も多くなってきました。
「私は'あなたの一生の応援団ですよ'」がモットーです。実際にそう言いますし、またそう思います。「鉢巻してメガホン持って、フレーフレー・・あなたの後にいるからね。絶対に大丈夫。」と、応援エールを送っているんです。
 
☆ どういう相談の「ジャンル」が多いのか。

-電話相談のジャンルは、何が多いですか?-
 乳幼児をもつ母親は、基本的生活習慣についての相談が多いですね。
生活習慣とは、排泄、睡眠、着衣脱衣、食事等のことです。例えば、排泄のことだとトイレトレーニング。いつオムツを付けるのか、外すのか? 睡眠のことだと、昼夜逆転や、愚図るだとか、食事のことだと、離乳の仕方、偏った食事をするとか、食べないとか。
「今、子どもを殴ってしまった、どうしよう」と言ってくる罪悪感をもった母親もいましたし、「娘がリストカットをしちゃって」と言ってくることもありました。
保育者の場合は、家で子どもに食事をさせてこないとか、風呂にも入れないで登園させてくるとか、虐待されているのでは? とかの相談があります。
また、多文化保育の園児の扱いや、グレイゾーンの気になる子(障害?遅れ?)と健常児を、一般保育でどう関わりをもたせていくか、と聞いてきます。
また、どのような教材を使ったら良いのか?
不登校の生徒をもつ先生からの相談もありました。
親は子どもが行きたくないならいいじゃない、と言う考え方が多いようで、子どものことを考えると、保育者はどうしてあげたら良いのか? と相談されたこともあります。

-特に、母親からの相談で、多いことは何ですか?-
 基本的生活習慣のことが7割くらい、圧倒的に多いです。
それから、障害では? 遅れでは? といったような心配をされている相談もあります。
相談にのっていると、まるで親教育のような場面も多いですよ。オムツの知識とか、白湯の意味を知らない人も結構いますし・・。
 保育者に対する要望として多いことは、もっと自分の子どもに目をかけてもらいたい、というような身勝手な相談があります。

-父親からの相談で、多いことは何ですか?-
 父親からの相談で多いのは、外国人妻との生活習慣の違い、価値観の違いから、子どもをどう育てたらよいのか。
自分の子どもは、障害があるのか、大丈夫なのか? とか、発育が遅れているのか、心配しなくてよいのか? という相談が多いです。

-一方、保育者からの相談で、多いことは何ですか?-
 '多文化保育'つまり、外国人の親にどのようなやり取りをしたら良いのかわからない。
園児をどのように保育をしたら良いのかわからないとか。
'統合保育'これも同じように障害をもった児童とか、気になる子(=障害かどうかわからない子)を健常児と一緒に、どのように保育したら良いのかわからない、といった相談が多いです。
 上司との関わりのなかで、自分の意見を取り上げてもらえないとか、研修へ行くための承諾がもらえないとか、折角自分の意識を高めたいと思いながら適わない、と言った相談もあります。
保護者に関しては、価値観の問題があります。保育者が考える保育と、保護者が求める保育、つまり子育て観が違う場合があります。例えば、髪をピンクに染めてくる園児に、保護者が可愛いでしょ、と言われれば保育者は何も言えないようです。
このように、園児のために保護者との関係をどうつくろうか、自分を高めていくために上下との関係をどう築こうか? という相談はとても多いです。
 
☆ どういう電話相談の「やり取り」になるのか。 

―駒井先生の場合、どのような電話でのやり取りになりますか?―
 ~ だいたい、次のような進め方が多いです。~
① 電話の確認
 まず、自分(駒井先生)宛てにかけてきたことを確認します。電話の相手は、自分の身元を言うことはほとんどありませんし、こちらからも聞きません。
 着信があった場合は、こちらから電話をするようにしています。
 
② 電話の相談者から、穏やかに話しを聞く
 相手の言いたいこと、言い分を聞きます。受容ですね。聞いていくうちに、相談内容を絞っていく。大体3つくらいのポイントをこちらでおさえていきます。
 余分な話しが山ほどあるのですが、意外とその余談の中にキーワードが潜んでます。
③ 過去の症例(経験)から、ポイントを切り出していく
 絞られたポイントから、自分の(記憶の)フロッピーを開き、過去にこんなケースがあったんですよ、と切り出します。すると、私だけじゃないんですね、と安堵感が出てきます。黙って聞いてあげて、支えてあげるということが大事です。これが支援と援助です。私の電話相談の目的は支援と援助であり、管理ではありませんからね。
④ 受け入れて、支援する
 私は相談者を管理しません。電話相談なので、相手の内容を受け入れて、支えてあげます。あれしなさい、こうしなさい、と指示や説明もしません。応援団ですから。
 ~ そういうスタンスのもと、一般的には次のようなやり取りになります。~
 話しを聞く限り、あなたはこう言う風に考えていますね。こう言う風にも考えられて・・、こういう力もありそうだから・・、きっと、お子さんのことは大丈夫。頑張ってみて、あせらないでね。と言うと「大体分かりました。
 ありがとうございます。頑張ってみます。」という具合になっていきます。
⑤ 再度、電話をしてくるように促す
 「でも、結果も聞きたいから、もう一度様子をみてから、電話を下さいね。」と言います。それで、電話をかけて来た場合は、まだ問題が継続してます。電話がない場合は、一応落ち着いたかな、と考えるようにしています。「解決しました。ありがとう。」という報告電話はほとんどありません。
 ◎大きな問題(借金・犯罪に関わること等)は、専門の窓口・専門家へ相談するように促します。パニックっている場合は、まず話しを聞いて落ち着かせる(=受容する)ように心がけています。

-電話相談の上で、ポイントは何ですか?-
 たまには、「まだそんなことを言ってるの!」と叱咤激励をしてダーツを投げます。ただし、相手と場面を考えながら。今は小さなダーツ。今度は大きなダーツ。この人には今投げては駄目、といった具合に相手の様子をみて、加減しながら。そういう、メリハリも必要です。
基本的には、私が相手の話しを聞いてあげて、受容する。そして、私のことを聞けるようになったら、相手に受容させる。このような、手当ての仕方が大事です。
 
☆ 電話相談の利点・特徴。

-電話相談で、でき得ることはどんなことでしょうか?-
 電話相談の良いところは、その場(電話先)で話しを聞いてもらえ、落ち着けること。ある程度の満足感はそれで得られます。
そして、問題解決の糸口が見えてくることでしょうか。また、相談者の素性が分からない、身元を明かさなくても良いから相談しやすい。
相手が分からないから問題や本音をさらけ出せる、ということが良いのでしょう。
私は、相談電話を通して人間関係(信頼感)を築き、そのなかで、メンタル面については、解決できないことはないと自負しています。

-電話相談で、できないことはどんなことでしょうか?-
 解決困難は、借金などの金銭的なこと。夫の浮気相手のこと。また、姑や舅のことなど、第三者が絡むようなことは難しいです。
しかし、違う方向を見させて、落ち着かせることはできます。だって、子どもに八つ当たりされては困るし、親支援だけど、子育て支援が目的の電話相談なのだから。
究極は、人生相談のようなもの。「あなたの軸足はどこにあるの?」「どこを見てるの?」と自己点検させてあげます。
 
☆ 電話相談で「求められる」こと。

-電話相談で求められることは何でしょう?-
 相談者はまず、聞いて!、解決して!、と来ます。だから、まず話しを聞いてあげます。ガス抜きをします。
そして、解決するための問題点とポイントを整理してあげ、解決するためのルートを導いてあげます。
そして、相談者が主体となって、一緒に解決していきます。「あなたが解決して行くのよ。あなたが主体的、行動的、情熱的、意欲的になって。
後ろで私が応援するからね」と言ってあげると、次第に頑張ろうかな、という意欲がでてきます。
 メンタル部分を支えてあげることが大切です。メンタルが育つと、生きる意欲が湧く。
そうすると、自分で問題を解決しようとする気になり、子どもを育てることができるようになります。
まずは支えてあげて、そして背中を押してあげる。私が鉢巻してメガホンもって、応援してあげてるからね、と言って。
 一般的に、女性の場合は適応力があります。スイッチの切り替えも早いです。だから、電話をかけてくる人は大丈夫。悶々としている人が心配です。同じように、園に来る子は大丈夫。来ない子は心配。

―数々あるケア・サポート(サービス)の中で、電話相談の意義は何ですか?-
 今の世の中、誰でもガス抜きが必要ではないですか。話しを聞いてもらえることが一番大事なことでしょう。
電話相談は、そんな役割りができるから素晴らしいと思います。
 
☆ 電話相談の「ご苦労」はどんなこと。

―電話相談のご苦労は、どんなことですか?-
 正直、特にありません。
きっと好きなんでしょうね、電話相談が。辛いことであれば、10年近くも続けてこられなかったと思います。
大勢の人が喜んでくれることが、一番嬉しいです。
 ありがとうございました。
 
【取材後記】
 駒井美智子先生の「電話相談」は、10年近くのキャリアを積み重ねてこられました。
 駒井先生独特のキャラクターが活きた電話相談なっておられるようでしたが、いろいろなご苦労もあったことと思います。
 「電話相談」の使命は、相談者の話しを聞いてあげて、支えてあげること。あくまでも相手の目線と口調に合わせて話しを聞き、フレンドリーに、時にはダーツを投げながら。
言葉のキャッチボールをスムーズにさせることが、相談者を心穏やかに導いてあげられ、結果的に、問題解決の糸口になっていくと感じました。
 今後は、私どもが行います「保育者向けケアサポート事業」にも関わって頂き、保育者のケアに当たって頂きたいと考えています。
 
 
※連絡先情報は、近日公開いたします。

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